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逆翻訳(バックトランスレーション)はなぜ必要?

一度翻訳された文章を再び元の言語に翻訳しなおすことを逆翻訳、またはバックトランスレーションといいます。

そんな面倒なことをしてどんな効果があるの?と思われるかもしれませんが、実はさまざまなメリットがあるんです。

ただし、逆翻訳はすべての文書に有効なわけではないので注意が必要。

逆翻訳とはどのような作業なのか、どのような文書に効果があるのか、また、逆翻訳の注意点など、特徴を理解した上で行うことが大切です。

今回は逆翻訳について詳しく解説していきます。

逆翻訳(バックトランスレーション)の目的

逆翻訳は、意図した通りの翻訳内容になっているかを確認したり、翻訳の際に生じる情報の抜け漏れや誤訳、不明瞭な部分を特定し、より高品質な訳文に改善する目的で行われます。

「原文を見ないで作成された逆翻訳」と「原文」を比較することで、訳文の正確性や、両者の内容の同等性を客観的に評価できます。

そのほか、依頼者側で翻訳された言語が読めずチェックができない場合、逆翻訳を行って意図した通りの意味に翻訳されているか確認するために行われるケースもあります。

このように逆翻訳は、元の言語同士での比較で内容を確認できるため、ターゲット言語の知識がなくても翻訳の正確性をチェックできるというメリットがあります。

逆翻訳は、医薬翻訳や法律翻訳など、高い精度の翻訳が求められる場合に多く行われます。

<逆翻訳が求められる文書例>

  • 薬事関連文書
  • 医療機器の取扱説明書
  • 同意説明文書
  • 契約書
  • 裁判資料
  • 特許申請文書
  • 専門性の高い論文 など

逆翻訳(バックトランスレーション)のプロセス

逆翻訳では依頼者から提供された訳文を、翻訳者が原文を参照せずに元の言語に再度翻訳します(①)。

その後、レビュアーが原文と逆翻訳された文章を比較、原文との差異や、訳文の正確性を検証します(②)。

逆翻訳では以下のようなポイントをチェックします。

  • 用語が正確に翻訳されているか
  • 原文の文脈が正しく反映されているか
  • 抜け落ちている情報がないか
  • 表現や細かいニュアンスの違いはないか

レビュアーはこれらの検証結果を「比較検証レポート」にまとめます。

その後、必要に応じて訳文を修正・ブラッシュアップします(③)。

翻訳会社によっては、「逆翻訳を行った翻訳者は、元の原文を一切参照せず、訳文だけをもとに翻訳を行った」という証明書を発行する場合もあります。

逆翻訳には「シングルバックトランスレーション」と「ダブルバックトランスレーション」の2種類があります。

シングルバックトランスレーションのプロセス

対象言語に翻訳された文書を元の言語に翻訳し直します。

依頼者の提供物納品物
原文、訳文逆翻訳(原文の言語)
最終版の訳文(ターゲット言語)
比較検証レポート
証明書
  1. 依頼者が翻訳会社に原文と訳文を提供
  2. 翻訳者は原文を参照せずに、提供された訳文を元の言語に逆翻訳
  3. 逆翻訳された文書と原文をレビュアーが比較・検証
  4. 検証結果を「比較検証レポート」に記載
  5. 逆翻訳と原文で相違があった箇所の訳文を修正・ブラッシュアップ
  6. 原文の内容をより正確に反映した「最終版」の訳文を作成し、レポートや証明書と合わせて納品

ダブルバックトランスレーションのプロセス

まず一人の翻訳者が原文をターゲット言語に(通常通り)翻訳します。その後、翻訳された訳文を別の翻訳者が元の言語に逆翻訳します。

依頼者の提供物納品物
原文訳文(ターゲット言語)
逆翻訳(原文の言語)
最終版の訳文(ターゲット言語)
比較検証レポート
証明書
  1. 依頼者は原文のみを翻訳会社に提供
  2. 翻訳者Aが原文をターゲット言語に翻訳
  3. 翻訳者Bが原文を参照せずに訳文を元の言語に逆翻訳
  4. 逆翻訳された文書と原文をレビュアーが比較・検証
  5. 検証結果を「比較検証レポート」に記載
  6. 逆翻訳と原文で相違があった箇所の訳文を修正・ブラッシュアップ
  7. 原文の内容をより正確に反映した「最終版」の訳文を作成し、レポートや証明書と合わせて納品

逆翻訳(バックトランスレーション)の向き・不向き

逆翻訳は、決められた専門用語があったり、定められた訳文を使用しなくてはならない文書、文脈全体の正確性が重要な文書などには大きな効果を発揮します。

一方で、文書の読みやすさや自然な表現になっているか判断したいという場合は、効果はあまり期待できません。

例えば日本語から英語に翻訳された訳文において、英語としての表現の自然さなどを確認するために日本語に逆翻訳をしたとします。この逆翻訳された日本語が自然な表現で読みやすかったとしても、プロセスの途中で使用した英訳文の表現が英語として自然な表現だったのかは分からないということです。

<逆翻訳が向いている文書>

  • 薬事関連文書(治験薬概要書、指示事項回答書など)
  • 尺度票(質問紙)
  • 契約書
  • 法定文書を含む法的文書
  • 規制当局への提出書類などの財務書類
  • 研究論文
  • 機器や医薬品の説明書
  • 同意書
  • 取扱説明書 など

<逆翻訳が向いていない文書>

  • Webサイト
  • プレスリリース など

まとめ

重要な文書の翻訳内容に誤りがないことを確認するために、逆翻訳は有効な手段です。ただし、効果の薄い文書もあるので注意が必要。

逆翻訳を行って適切な評価や修正を行うには、目的やチェックポイントを理解した翻訳者の経験と技術が必要です。そのため、逆翻訳はプロの翻訳会社に依頼するのがおすすめです。

逆翻訳のご依頼はWord Connectionまでご連絡ください!

逆翻訳について、英語版の記事もありますので、興味のある方はぜひご覧ください。

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