AI翻訳に満足しない顧客のためのWebの多言語化のヒント

作業マニュアルのペーパーレス化、多機能化、そして多言語化

世の中には、多種多様な仕事が存在する。仕事の種類によっては、用意されたマニュアルの指示にしたがい、決められた手順から逸脱せず作業しなければならない。もちろん、ときには臨機応変の柔軟な対応も必要だろうが、順番通り実行すべき操作や見落とせない確認項目のある仕事は多い。ミスが事故につながる工事現場やインフラ設備などでは、特にマニュアルが重視される。

そうした作業をする際、かつては紙に印刷された分厚いマニュアルが手放せなかった。それが今では、電子化されたマニュアルも珍しくない。Webサイトやアプリの形態でマニュアルを用意すれば、スマートフォンやタブレットで読める。現場で手順を確認しやすくなり、作業効率が上がる。せっかくマニュアルを電子化するのなら、読むだけのマニュアルではもったいない。ToDoリストチェック、データ集計、記録のような機能を加えるとよい。作業時のミスを減らせたり、報告書を現場で書けたりして、価値の高い作業支援ツールになる。そうしたツールの1つに、「カミナシ」がある。文字通り、手順書やマニュアルのペーパーレス化を目的としたアプリだが、チェック機能、データ集計機能、報告書作成機能も備えるアプリだ。現場で作業する人の負担軽減、ミス防止、レポート作成省力化といったメリットが得られる。

AI翻訳でマニュアルを多言語化

そのカミナシに興味深い機能が追加された。表示言語を切り替えられるという多言語翻訳機能だ。これを活用すれば、日本語の苦手な人にも日本の現場で活躍してもらえる。カミナシの多言語翻訳機能は、日本語で作ったチェックリストやマニュアルを、ほかの言語に「ワンタッチ」で切り替えられる。切り替え可能な言語は、英語や中国語(簡体字/繁体字)、ベトナム語、ネパール語、タイ語、タガログ語、インドネシア語など、全43言語のなかから9言語を選べるそうだ。

今の日本では、建築現場や飲食店、コンビニエンスストアなどで働く海外から来た人の姿をよく見かける。そうした人たちは、必ずしも日本語が得意でないだろう。ましてや、漢字かな交じり文の読み書きは、日本語の会話以上にハードルが高い。だからといって、現場で使う作業マニュアルを働く人の言語に合わせて翻訳しておくなど、多くのコストや手間がかかる。よほど大きな規模の職場でもない限り、多言語化は無理だろう。

カミナシは、日本語で作ったマニュアルを各種言語に翻訳できる。働く人に合わせた言語で作業を指示し、作業結果を入力してもらえる。優秀なのに言語の壁に阻まれていた人にも、日本の職場で能力を発揮してもらえる。しかも、カミナシの言語切り替え機能は、なんと「AIがボタン一つで多言語化」する「自動翻訳」だという。そのうえ、その現場だけで通用するようなジャーゴンにも、辞書登録で対応できる。作業マニュアルを自動翻訳するカミナシのようなアプリは、多言語化現場の救世主といえる。

 

自動翻訳以外で多言語化する際のヒント

自動翻訳を使わずに多言語化するにはどんな手法があるだろうか。いくつか例を挙げてみた。

(1)セルフ翻訳

顧客自ら翻訳するセルフ翻訳を機能につけているツールもある。十分な翻訳能力を持つ人材のいる組織で、翻訳作業に割り当て可能な時間があるのなら、これがもっとも高い精度の翻訳結果につながると期待される。翻訳担当者が文書の使われる環境を知っている可能性があるし、さらに詳しい現場の人に確認しながら翻訳を進められるからだ。翻訳内容の変更や追加にも、柔軟に対応できる。

(2)機械翻訳

ニューラルネットワークを使った機械翻訳(MT)で自動翻訳する方式。顧客の手間がかからないうえ、自動生成されるコンテンツの多言語化にも対応できる。ポストエディット(PE)機能も備えており、翻訳結果の修正も可能だ。用語集を作っておけば、自動翻訳に反映させられる。つまり、ある程度は翻訳結果をコントロールできる自動翻訳といえる。動的コンテンツのリアルタイム翻訳が必要な場合は、この機械翻訳を組み合わせる。

(3)プロ翻訳

プロの翻訳者に翻訳を依頼する方式。翻訳作業を外注したことがないと、どのように依頼すればよいか分からず困るだろう。かつてはやったクラウドソーシングでも翻訳者は確保できるかもしれないが、実績豊富な翻訳会社に依頼するのが無難な選択肢だ。Word Connection JAPANでは単にテキストを翻訳するのではなく、レイアウトや文脈を考慮した翻訳を提供している。逆にとらえれば、コンテンツ全体の意図を汲んだレベルの翻訳が必要ならば、この方式を選ぶことになるのだろう。

AIなど太刀打ちできない翻訳力が人間翻訳の魅力

機械翻訳の流暢さに舌を巻く場面が増えたものの、予想外の誤訳や訳抜けに驚かされることも多い。機械翻訳の出力をチェックしないで使うと、重大なトラブルにつながる恐れもあり、まだまだ油断できない。また機械翻訳には制約がある。Word Connection JAPANでは「機械翻訳には誤訳があることを理解いただくこと」「誤訳があった場合のリスクを検討していただくこと」という2つの注意点を示し、納得したうえでの利用を呼びかけている。

翻訳者にとっては、十分なコンテキストの与えられない細切れ翻訳、低予算での作業など、条件のよくない業務になりかねない。しかし、機械翻訳の誤訳、誤訳のリスクを理解した顧客には、プロ翻訳者の力をアピールする材料にもなり得る。仕事のチャンスは、いろいろなところに転がっている。